原因不明の歯痛について
まれにですが、患者さんが歯の痛みを訴えているのに、原因となる歯が全く見当たらないことがあります。虫歯もない、歯の動揺もない、歯肉も異常がない。さらに歯を押しても叩いても違和感がない。食べても痛くない。しかし、痛い。そしてこのときの痛みは耐えがたい強い痛みなのが特徴です。
当院においては、このような原因不明の歯痛は頚椎のズレの整復により痛みが消失することがほとんどです。ここでいう頚椎のズレとは微細なズレであって、レントゲンなどでは判読できません。しかし、首の可動域や張りの左右差で推測することはできます。
なぜ頚椎の整復によって歯痛が消失するのかということにはエビデンス(科学的な証明)はありませんが、当院では以下のように考えております。ちょっと専門的ですが、興味のある方はご覧ください。
この歯痛を感じるのは歯の知覚を支配している三叉神経です。歯は悪くないのですから、これは三叉神経痛の一種と考えられます。この三叉神経というのはとても大きな神経で下図のように顔面の大部分の領域を支配しています。そして首の部分につまり頚椎の中にまで分布しており、そこには脊髄路核があります。ですから頚椎に異常があれば三叉神経に影響が出る可能性が、解剖学的には十分にあります。
原因不明の歯痛があって、レントゲンなどでも異常が見当たらず、さらに肩こりなどがある場合は、一度、首(頚椎)を疑ってみてはいかがでしょうか。